白ヤギの開発者の森本です。
この週末 (2015-10-9から10-12) にかけて PyCon JP 2015 が開催されました。2011年からもう5年目です。Python プログラマーにも、そうではない方にも認知度が高くなっているのでイベントそのものの説明はもういりませんよね。
私は初期の2011-2012年の頃に参加していました。その後は余裕がなくて参加していませんでした。そして3年ぶりに参加してきたわけになるのですが、2011年の頃とは大きく変わって、会場の規模もスタッフもカンファレンスの内容もレベルアップしていて驚きました。とりわけ3年前と比べて気付いたことは女性と外国人の参加者が増えていたことです。
例えば、いま求められるコミュニティの多様性と未来 と題して女性向けコミュニティの運営に携わっている方々のパネルディスカッションがあったり、LT では外国人 (おそらくはそのコミュニティの関係者) から PyCon Canada の紹介やブラジルの Python 系コミュニティの紹介などもありました。
さらに 一般社団法人 PyCon JP としても地域 PyCon の活性化のために協力しているそうです。先月は札幌、来月には広島でカンファレンスが開かれるそうです。
そういったところからも、PyCon JP が目指しているコミュニティの拡がりやつながりといったものがどんどん成長しているように伺えました。
今回の PyCon JP は Possibilities of Python というテーマが指す通り、Python そのものの可能性やコミュニティの多様性の発展を示唆するようなイベントになっていたように思います。また閉会のときに聞いた話だと、参加者数は 602 人と昨年よりも50人以上増えていたそうです。これだけの参加者がいるというのも本当に凄いですね。
発表内容のスライドや twitter の反応は以下のサイトにまとめられています。多種多様な話題があるので是非みなさんの興味があるものを探してみてください。私も本稿を書いた後にその場で見れなかったものを調べてみます。
Pythonと型ヒント (Type Hints)
せっかく参加するので何かしら貢献しようと私は発表のプロポーザルを送りました。PyCon JP ではチュートリアル、トークなどは公募から選定されています。プロポーザルが採用されたため、先月リリースされた Python 3.5 で導入されたばかりの型ヒントというものの背景や仕組みについてお話ししてきました。配信後すぐに youtube のアーカイブになっていて、slideshare の2枚目からそのビデオを観ることもできます。
自分の発表を自分で観るのはとても恥ずかしいのですが、ちょっと見返しただけでも全く余裕がないですね。100人ぐらい聴いている方々がいて単純に緊張していただけです。もうちょっと朗らかに発表できるようになりたいです。 🙁
さて、聴講された方々の反応が togetter にまとめられています。
前からみていると後ろの方は立ち見している人がいるぐらいしか分からなかったのですが、後半から聞こうとやって来た清水川さんのツイートによると入り口がいっぱいで入れなかったそうです。
.@t2y の発表が満員で入れない!! #PyConJP_M
— Takayuki Shimizukawa (@shimizukawa) October 10, 2015
3.5 がリリースされたばかりで型ヒントがどういうものか、みなさんの関心が高かったのかなと思います。同じく清水川さんのツイートから発表後に
第3回 EuroPython 2015参加レポートと,Sphinxに関する発表(前編)-Guido Van Rossum 氏の キーノートとセッション- を知ったのですが、ここでも Guido 氏の型ヒントへの考えを伺うことができます。この記事を探し当てられなくてスライドの中に収められなかったのが私の失敗でした。是非こちらも参考にしてください。
PyCon JP と白ヤギコーポーレーション
発表は私個人としてのプロポーザルを送ったものですが、白ヤギコーポレーションも シルバースポンサー として PyCon JP を支援しています。
ブースに当たった (抽選?) とかでせっかくの機会だからと出店していました。私もセッションを聞きにいかないときはここで カメリオ ユーザーの方とお話しさせて頂いたりしていました。
ブースに来られてざっくばらんにお話しさせて頂いた方、カメリオを使っていて貴重なユーザーインタビューに答えて頂いた方、カメリオを初めてインストールして頂いた方、スマートデバイスの容量不足でカメリオを削除したけどまたインストールしますと仰ってくださった方、多くの参加者と Python ではなくプロダクトの話題で盛り上がってくれた方々、本当にありがとうございました。
みなさんの意見はプロダクトの開発に活かされていきます。
ジョブフェア
カンファレンスの半分ぐらいはブースで店当番していてトークをあまり聞けていないのですが、ジョブフェアがおもしろかったので紹介します。
- 『Possibilities of Python 〜Python で広がる仕事、キャリア、未来〜』
- 【ディカッション+LT】Pythonの可能性とキャリア、そして未来 ジョブフェア #PyConJP_C #pyconjp
私のイメージではジョブフェアは求人企業が自社の宣伝をするようなセッションだと考えていたのですが、ここでのジョブフェアは4社の CTO を招いてのパネルディスカッションでした。話題が多岐に渡り且つそれぞれの CTO の背景が異なるせいか内容も発散していて、聞き流していると、いま何のテーマについて話していたんだっけ?と思うことが私は何度かあったりもしましたが、全体としてはとても興味深いディスカッションでした。
うろ覚えですが、私が印象に残ったことをつらつらと書いてみます。間違っていたらごめんなさい。
- Python はプロトタイピングに向くのでプロダクト開発の最初の言語に選択するのは良い。言語が理由でプロダクトがスケールしないということはそうはないけれど、他に適切な言語があれば移行することはある。但し、そのタイミングは難しい。Python が向かない領域は外部からそのサービスを買ってくることもできる。
- Python の教育/学習コストの低さ。企業で開発者を一から教育していくことを考えると、このメリットはとても大きい。
- Python は (他の言語と比べて?) まだ日本語情報が少ない。例えば、Web アプリの開発で検索すると Rails の記事の方がたくさん出てくる。Python の初心者が最初につまづかないための情報が日本語であることが大事。プログラマー人口のスキルのピラミッド構造を考えたとき、底辺のプログラマーがたくさんいてこそ、そこから成長して優秀なプログラマーがたくさん出てくるのだから。
- プログラマーの健全なエコシステムを作るのが重要。その本質において言語はあまり関係ない。声の大きい人がものを言うと一定数の人たちはそこになびく。Python のコミュニティはあんまりそういった浮ついた雰囲気はないけれど、エンジニア外の人からみてキャッキャウフフしているようにも見えない。Python はクールだけどイケてないみたいな。
- いまの若い人は優秀。ある程度経験を積んだエンジニアから優秀な後輩をみているとすごく刺激になる。
2015-10-13 追記
モデレーターをされていたえふしんさんの記事です。簡潔にパネルディスカッションの内容をまとめられています。
さらに白ヤギのブースの前にジョブボードが2枚設置されていました。こんなに Python のお仕事があります。土曜日のイベント終了後のパーティでは、求人企業がマイクをもって自社のアピールをして参加者に呼びかけるといった催しも行われていました。知らないだけで探せば良い企業はたくさんあると思います。Python でお仕事を探している方はこういったところでお話を聞いてみると良いでしょう。
まとめ
月曜日のスプリントには参加できなかったのですが、土曜日・日曜日とカンファレンスの2日間に参加した所感を書き綴ってみました。
あまりセッションを聞いていなかったのでトークの内容のお話しを期待された方にはすみません。言い訳をすると、いまはトークを見たければビデオが残っていて、いつでもすぐに見れます。せっかくカンファレンス会場まで出掛けたのであれば、そこでしか体験できない何かを探してみるのがカンファレンスの楽しみの1つです。もちろんトークを聞くこともその1つではありますが、そこにいる古くから馴染みの人たち、どこかの勉強会で見かけたことがある人たち、パーティで仲良くなって話すようになった人たち、そういった人たちと話してみることも参加者だけの体験として価値があります。
私は今回スポンサーブースで店当番をしながら、スポンサーという立場から PyCon がどんな風に見えるんだろう?と一般の参加者とは異なる視点からカンファレンスを見ていました。
そして、そこで重要なことに気付かされました。
企業のマスコットキャラクターはかわいくなければならない。
https://twitter.com/monotarosamurai/status/653141895028146176/photo/1
#monotaro と #pyconjp のハッシュタグ からもモノタロウ侍の圧倒的存在感が伺えます。他を寄せ付けません。圧倒的というしかない存在感です。
そして私もモノタロウ侍と一緒に写真を撮らせて頂きました。その節はどうもありがとうございました。 🙂
はい。
それでは最後に PyCon JP 2015 スタッフの方々へ。本当に楽しいイベントをありがとうございました!また来年も楽しいイベントにしましょう。
受け付けで頂いたトートバックの中に入っていたノベリティの一部 (適当に写真を撮ったもの) 。