初めてこのブログにポストします、代表の渡辺です。読者の皆様に最先端の情報を吸収していただくというブログの目的に沿って、ストーム・トルーパーの実装について私の持っている少ない知見をシェアできればと思います(今回はコーディングの話ではありません)。
そもそもストーム・トルーパーとは
ストーム・トルーパーとは、映画スターウォーズに出てくる銀河帝国軍の機動歩兵です。下の写真を見れば、スターウォーズに詳しくない方でも「ああこれか」と気がつくのではないかと思います。
毎度大量に出現し、ジェダイに対して発砲するものの、命中させることはない一方で自分たちはすぐに打たれて死にます。彼らの劇中での活躍は、Stormtrooper Effect(ストームトルーパー効果)という言葉にもなっています。つまり、Stormtrooper Effect(ストームトルーパー効果)とは「あまり重要でないやられ役(雑魚キャラクター)はプロット上重要なキャラクター(ヒーロー)との戦闘では役に立たないという、お約束の現象のひとつ」のことを指します。
スターウォーズのファンの間では、ストーム・トルーパーのコスプレは永遠のテーマであり、仮装の方法については文字通り世界規模で毎日議論が繰り広げられています。スターウォーズでは他にも様々なキャラクターがいますが、全ての時代を通じてストームトルーパーが最もホットな領域であることは間違いありません。
ストームトルーパーがホットな理由
ストームトルーパーの実装とその課題について論を展開する前に、なぜこれほどまでストームトルーパーがホットなのかについてもう少し話をする必要があります。
ストーム・トルーパーは取るに足らない雑魚キャラです。どうせコスプレをするならダース・ベイダーのような唯一無二の存在がいい、と考えるのは至極自然な思考でしょう。
当然私も初期の段階ではそのような思考に基づいてコスプレをしていました。しかし、すぐに「かぶり」という大きな壁にぶち当たります。唯一無二のはずのダース・ベイダーがひとつのパーティー会場(もしくはハロウィン時の路上)でもう一人の自分と同じキャラクターに出会ってしまうのです。その際に周囲は、いや当事者同士もどちらが本物なのかわからなくなり、現場の混乱は眼に余るものがあります。
数度この状態を経験すると、よりニッチなキャラにシフトすることで「かぶり」を避ける戦略を思いつくようになります。私の場合は写真のようにモモーネイドンから始まり、アクバー提督のマスクを買いにアメリカを横断し、より地位の高い銀河元老院のメンバーををコンプリートしようとマスクの作成者にコンタクトしてた時期がありました。
しかしここにも新たな問題が発生します。それは「小さく奇妙なニッチ」という問題です。
「小さく奇妙なニッチ」とはかのYコンビネーターのPaul Graham先生が「 The 18 Mistakes That Kills Startups (スタートアップを殺す18の過ち)」の中で述べています。競合を避けるあまりどんどんニッチな方向に行き最後は誰も相手にしない小さい市場に手をだして儲からなくなる、という過ちです。幸いなことに比較的早期に私はその過ちに気がつきました。数十万円払って集めたスターウォーズのマスク達を兄に見せた際、「それは仮面ライダーの怪人か?」と言われたためです。
もはやだれも私のコスプレがスター・ウォーズであることに気がつかない状態になってしまったのです。加えて1日2回ほど妻から「マスクがキモいし臭い」と言われるようになり、ほどなくそれらはヤフオクで売り払われました。 ここで私は大きな挫折を経験しましたが、ストームトルーパーと出会った今となっては、その挫折も糧だと思っています。
ストームトルーパーの最大の特徴はその人数です。wikipediaによると帝国時代の最盛期では20億人存在していたとのことなので、その人数たるや日本人口の比ではありません。また、群れることで存在意義が発生するキャラクターなので、「かぶり」をみつけると「仲間がいる」と安心感を抱くことができます。「かぶったらどうしよう」という悩みそのものから解脱できるばかりではなく、かぶりそのものが楽しみになるというこれまでとは真逆の状況になるのです。まさにこれがストーム・トルーパーが最もホットなコスプレである所以なのではないでしょうか。群れれば群れるほど存在意義が強まるストーム・トルーパーは、現実世界でも501stという世界規模のコスプレ部隊を作り、日本にもその支部で被災地訪問から店舗のオープニングイベント登場まで様々な活動を行っています。 上記とは直接関係ありませんが、目下私の目標はこの501stに入隊することであることを付け加えておきます。
ストームトルーパーの実装
わたしはハロウィンに合わせ、ストームトルーパーのアーマーを入手することを決意しました。実は決意したのは3年ほど前からですが、質の良いものを良心的な価格で譲ってくれる人を探すのが大変でした。
ちなみにアーマーは市販されているものもありますが、14万円と値段が張る上に質は悪く、このコスチュームでは上記の501stの入隊は許されません。実際にコスチュームを手に取ってみたことがありますが、ひどいものでした。
念願叶って今年はハロウィン前にコスチュームが入手できたのですが、完成までの道のりは困難を極めました。そこには二つの理由がありました。一つは単純に組み立ての問題です。コスチュームは写真のような形で送られくるため、自分で組み立てないといけないのです。
そこには説明書のようなものは存在しません。そこでyoutubeなどを見ながら最適な方法を模索します。ただ、自分のアーマーは他のアーマー同様ファンメイドなので、ネットにあるどの情報とも少し仕様が違い、自分なりの最適化が必要になります。場合によっては穴を開けたり、そもそもの作成者の設計思想を疑って余剰な部品を切り捨てたり、追加することが必要になります。
もう一つの問題はもう少し深い問題で、実装に関わる問題です。ここでいう実装とはアーマーを体に装着することを指します。これは重要なことであると同時に、この記事をここまで読んでいる皆様にとって今後きっと突き当たる問題でもあると思いますので記しておきたいと思います。
実装には哲学が要求される
実装では様々な哲学的な課題を突きつけられますが、今は金曜日の夜でもう私もこれを書くのが疲れてきましたので、さしずめ重要な2点を共有しておきたいと思います。
まず1点目は、そもそもストーム・トルーパーの中には人が入っているものなのか、という問題です。ダース・ベイダーの際にはこの問題は問題ではありませんでした。なぜなら、人が入っていることが明確だからです(アナキン・スカイウォーカーです)。モモー・ネイドンなどの場合は人系を超えた形態のためある種の割り切りがありました。
しかし、ストーム・トルーパーの場合は、妙に割り切れないものがあるものです。ディズニーランドにいる、ミッキー・マウスの中に人が入っていることは確実ですが、多くのディズニーファンは自分がミッキー・ マウスの着ぐるみをかぶる状況になるまではそのことに気がつかないでしょう。事実私の周囲にもミッキー・マウスに人が入っているという事実に気がつかない人は大勢います。それに近い状況です。ストーム・トルーパーの 中身は人なのか、ということはこれまで自分自身に問うたことのない質問でしたが、それを着る時には「ストーム・トルーパーに人が入っているのかいないのか、いまここで結論を出せ」という厳しい判断を迫られます。
同様の哲学的課題に立ち向かう同志のために、私がとった解決方法を示します。それはこの写真です。映画の主人公であるルークがストーム・トルーパーを倒した際、そのアーマーを着てストーム・トルーパーに化けて敵陣に侵入するというシーンがあります。
この時倒れたストーム・トルーパーの中には人がいたのかどうかというは映されないのですが、「私はストーム・トルーパーからアーマーを奪って着ている人間だ」と自己設定することで全てが解決します。
もう一点は、腕にまつわる黒いバンドです。下の写真をご覧ください。これは私が自分で作ったストーム・トルーパーのアーマーを試着した際のものです。なお、Facebookでは彼は帝国軍から来たインターンだと言っていましたが、これは本当は私です。虚言であったことをここで告白しお詫び申し上げます。
下の写真のこの矢印の部分を注目してください。
拡大します。ここです。
これは肩の部分がずり落ちないよう黒いゴムバンドで固定しているため、純白のアーマーに黒いバンドを付けてしまっている状態です。そもそもストーム・トルーパーほどの兵隊がゴムバンドでアーマーを固定しているわけがなく、コスプレにボロが出てしまっている非常に恥ずかしい状態に見えます。
しかし、実際の映画中もこのようにゴムバンドが見えているのです。すると、これはバグなのか仕様なのかという哲学的な問題が発生します。
ストーム・トルーパーの仕様は501stのサイトで Costume Reference Library として事細かに設定されているのですが、このバンドに関する言及がありません。当然この件についてネットでは議論が起こり続けます。
この件については誰もが迷うことではあると思いますが、人によって解釈が異なると言わざるを得ず、自分のスタンスを見つけることが大切です。
私は自分の幼少時代を思い出しスタンスを取りました。それは父の影響が大きかったと思います。
長くなりましたが、この父の言葉で今回のエントリーを締めくくらせていただきます。
「あのウルトラマンの背中はチャックではない、背骨がうきあがって見えているのだ」
ありがとうございました