私達が「フォローメディア」を必要としている理由

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最先端情報吸収研究所では、人々が求める情報をどのように収集し、提供することが必要とされているのか、という永遠のテーマの解決のために、激しく研究開発を行っています。一方で、その状況をお伝えするために開設した本ブログは、研究開発に没頭するあまり4ヶ月間もおやすみしてしまいました。楽しみにして頂いていた読者の皆様にはご迷惑おかけいたしました。

この度、R&Dが一段落し、ついに来週(株)白ヤギコーポレーションより新サービスKamelioの提供をβ版として開始する準備が整いました。本日この場を借りてご報告するとともに私達がどういう価値を提供して行こうとしているのか、改めてご説明させていただくべく、本ブログでの発信を再開しようと思います。

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革命的な先見の明で、情報創造の仕組みを変えたTed Nelson

ハイパーテキスト(HTMLの根本概念)を1960年代に提唱したTed Nelsonは、紙という媒体で、情報を線形に(順番に)提供していくことは、本来人々が伝えようとしているアイディアの不格好な近似でしかない、という気付きをもって、人類の情報創造を革命的に進歩させました。

WHY HYPERTEXT? The notion of sequential presentation is deep in our thinking. The TV show, the movie, even the fireside tale are sequential. Yet there are many reasons for wanting to create non-sequential explorable media: TO REPRESENT THE TRUE STRUCTURE OF THINGS.

「なぜハイパーテキストが必要なのか?情報を線形に順番に提示していくことは私達の思考に深く根ざしている。テレビ番組、映画、お伽話・・・。にも関わらず、今私達には非線形のメディアを必要としている:物事の構造の真の姿を表現するために」

 

HyperTextとは

HyperText以前の紙文書はストーリーが順番に語られる「線形」な表現方法(左)だったが、表現される対象はもともと複雑な形を持っていて(右)、多くの場合理想的ではなかった。

 

情報媒体の変化を考える上で重要な変化

コンテンツの創造に革命的な変化が訪れた一方で、特に近年重要な大きな質的変化が起こっています。

  • 「ビッグデータ」という言葉に代表されるように、大量の情報を高度なモデリング技術で効率的に分析することができるようになった
  • 「スマートフォン」や「タブレット」の出現とともに非常に高い操作性を持った情報端末が普及したこと

この2つによって情報の提供手段が形を変え始めています。情報消費は既に多くが紙を離れ、そのニーズも利用シーンもかつてよりもはるかに多様になりました。的確に情報を吸収していくことがかつてなく重要になり、そのために様々な新サービスが誕生しています。

情報を吸収するニーズには4つの形態がある

  1. 今、世界で何が起こっているのか知りたい
  2. まだ自分が知らなかった知識を手にしたい
  3. 自分が探している質問への解を見つけたい
  4. 特定のテーマについて継続的に情報を追いかけたい

それぞれのニーズに対しどのような変化が起こっているのでしょうか?

1. 今、世界で何が起こっているのか知りたい

端的にいうと、ニュースです。伝統的には新聞とTVのニュース番組が得意とする分野ですが、近年モバイルでの消費が爆発的に増えています。新しいサービス言うとSmartNewsなどが非常に優れたインターフェースで、どこでも簡単にニュースを手にできる新しい情報提供ミディアムを開発しています。

2. まだ自分が知らなかった知識を手にしたい

この問題は定義することが難しく、様々な方法が存在します。当然のことながら知らない知識であれば何でもいいというものではなく、知らなかったけれども知りたかった、と思うような情報が対象です。歴史的には自分の趣味に合う雑誌から得る情報、また近年ではSNS上で知り合いが紹介してくれる情報や、Gunosyなどのサービスがアルゴリズムを使って読者の趣向を分析し、「確度の高いセレンディピティー」を提供しようとしています。

3. 自分が探している質問への解を見つけたい

このニーズはインターネットが特に得意とする分野で、検索エンジン、特にGoogleの進歩により大幅に解決されました。Googleが持っていない情報を解決するために、Yahoo 知恵袋やStackOverflowなどのQ&Aサービス、NanapiなどのHowToコンテンツなど、優れたサービスが出現しています。

4. 特定のテーマについて継続的に情報を追いかけたい

最後のニーズが今回私達が解決しようとしているニーズです。仕事の専門分野で起こっている事を追いかけたい、自分の好きなアーティストの最新情報を追いかけたい、応援している選手の試合結果を追いかけたいなどなど、そのニーズの種類は非常に多岐に及びます。今までは業界紙・専門誌、ファンクラブ、新聞などの切り抜きなど、また近年ではRSSによる購読、更にはGoogleアラートなどによる特定キーワードのフォロー、更にTwitterやLineによる人物、組織などのフォローなど、様々な方法で部分的には達成できますが、このニーズの解決のために特化した総合的なサービスはまだ存在しないのが現状です。

なぜ第四の媒体が重要なのか

  • もしもあなたが好きな作家についてフォローしたければ、その作家が発信しているツイートはもちろん追いかけたいところですが、同時にその人についてメディアが報じているゴシップや、著名人の作品への批評にも興味が有るはずです
  • もしお得意先や競合の動向を知りたければ、それは新聞の14面の下の方に出ているかもしれませんが、どうやってそれを見逃さないように追いかけることができるでしょうか?
  • ダンスミュージックが好きならば、ダンスミュージック系の雑誌を購読すれば良いかもしれませんが、情報は雑誌だけでなく、ブログやYouTube等様々なところで発信されています。「ダンスミュージック」ならまだしも、その中の「クラブ系ボーカロイド」だけを追いかけたかったとするとどうしたらよいでしょうか?

特定のテーマについて様々な情報ソースを使って追いかけるということは今や学者だけが行うことではなく、普通の個人が日常的に行うことです。近年行われたマッキャンエリクソンの調査によると、20代~30代の90%近くが「自分なりのスタイルを極めたい」と思っているそうです。また、65%はその過程で「オタクと呼ばれてもイイ」と思っているそうです。何かに深く知っていることは今や生活に深みをもたせる上で非常に重要なディメンションであり、周囲からのリスペクトを受けるために必要で、またそれを通じて新しい出会いや人との深いつながりを実現する手段になっています。

カメリオは情報を再構築することで、第四の情報吸収ニーズに効果的に応えるメディア媒体です。下記の図の様に、情報をソース単位ではなく、トピック単位に再構築することで、ユーザーと情報をマッチングし、特定トピックを追い続けることが従来よりもはるかに簡単になります。

第四の媒体のスキーマ

最先端情報吸収研究所では、第四の情報提供手段を充実させることは大きな価値を生み出すことにつながるとう強い信念を持ってサービス開発を行ってきました。来週お届けするβバージョンでは「深く知ることで、生きることを豊かにする」という私達のビジョンを実現するに至る上では小さな前進ではありますが、今後の大きな展開につながる確実な一歩です。皆様に於かれましては、是非カメリオを手にしていただき、ご感想、ご鞭撻頂ければ幸いです。

なお、最先端情報吸収を擁する(株)白ヤギコーポレーションでは、下記のようなスキルをお持ちの仲間を募集中です。ご興味があれば是非ご応募下さい!

最後に、Ted Nelsonの1974年の著書Dream Machineより、

We live in media, as fish live in water. At this moment, we can and must design the media, design the molecules of new water and I believe the details of this design matter very deeply.

「私達にとってのメディアとは、魚が泳ぐ水のようなものです。今私達はその水の分子を新たにデザインする力を手にしていて、それをどのように使うのかが問われています。そのデザインにおいては、細部の設計が非常に重要だと信じています」

最先端情報吸収研究所 – AIAL

際限ない情報の中から、自分に価値のある情報を効果的に吸収することは、かつてなく大きなチャレンジです。最先端情報研究所はニュースアプリ「カメリオ」、レコメンドエンジン「カメクト」を提供する白ヤギコーポレーションのR&D部門として、データサイエンスの力でこの問題を解決していきます。白ヤギでは現在研究開発メンバーを募集しております。ご興味のある方は是非下記サイトを御覧ください!

Date:2014-01-14 Posted in:情報に関するマクロな変化 Text by: