情報過多の時代のペース

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2007年のGoeffrey Westの論文 “Growth, innovation, scaling, and the pace of life in cities” は、斬新な切り口で「都市」を分析して大きな話題になりました。街が大きくなると効率化が進み、一人あたりにかかる都市インフラが減っていく:ガソリンスタンドとか、道路とか。一方で、一人あたり計算で、減らないものもある:住居の数とか、食べ物の量とか。一番面白いのは、人が増えると「超直線的に」(人の数が二倍以上になったら、二倍以上に)増えるもの、それがイノベーション、GDP、そして犯罪率。つまり、街にが大きくなるに従ってイノベーションの効率というのはどんどん向上していくものだそうです。更には人口が増えた街では、人の歩く速さまで早くなるというから、驚きです。

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Urbanization(都市化)は世界中で起こっていて、1800年には都市人口は全人口のわずか4%だったのが、今では80%を超えているそうです。ここで彼が気づいた重要なことは、都市の人口増加は歴史の中で何度も伸び悩んでいること、そして都市の人口の成長の再来にはイノベーションが欠かせないということでした。例えば、まだ馬が荷物を運んでいた時代、ニューヨークで人口が今のような数百人規模になったらどうなるかという試算が出されたそうです。その時の結論は「街は馬のうんこに埋もれるだろう」ということでした。より多くの人が街に、そして世界に住むためには数多くのイノベーションが必要です。そして人が増えるに従って、必要となるイノベーションの数も膨大に増える、というのが彼の理論で、それをニューヨークについて分析したのが、下のB図。

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人口の増加の上がり下がりの感覚がどんどん短くなっているのがわかります。

さて、前置きが長くなりましたが、このブログでは情報吸収促進のためのイノベーションを取り扱います。インターネットの到来以来爆発的に増えてきた情報。有用なものも無用なものも含め、「溺れる」程増えてきたわけで、少し前のとある研究によると、平成13年から15年の間に1.5倍になったそうです。一方で人間が吸収した情報量は大きな変化をしていません。下のグラフの「消費情報量」というやつです。

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これ以上長い時間軸での研究が見つからなかったのが残念ですが、この傾向は誰の体感値とも大きく変わらないと思います。大量な情報の中から必要な物を収集し、それを理解することで、情報に流されることなく、アクションにつなげることができるようになるにはどのようなイノベーションが必要なのでしょうか。

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最先端情報吸収研究所 – AIAL

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Date:2013-07-15 Posted in:情報に関するマクロな変化 Text by: